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2023.10.12

モナミ11月号【インタビュー】株式会社Swell 青波 美智さん

都会育ちから異国へ:英語教育、移住、そしてTypeGOへの情熱
株式会社Swell 青波 美智

「TypeGO」というゲームを通じて英語とタイピングの同時学習を可能にしている青波 美智さん。東京出身で海外経験も豊富な彼女に、信濃町への移住の経緯や仕事について、さらには子育ての話まで幅広くお話を伺いました。

東京生まれだそうですね。
私は東京生まれ、東京育ちです。現在、事業を海外で展開していますが、小学校から高校までの間、海外とは一切関わりがありませんでした。実際、両親もパスポートを持っていなかったほどです。その反動からか大学生になると、アメリカ・カリフォルニアに半年間留学しました。留学中、英語が母語でない人たちに英語を教える資格を取得し、自分の親と同年代の移民の方々を対象に英語を教えていました。初級レベルのクラスを担当した際、テキストを見てびっくりしました。 芝刈り機(lawn mower)、職業(occupation)、ビザ申請(visa application)などの難解な単語が並んでいたのです。担当教官に「これは初級の内容とは思えない」と伝えると、彼は「それは生活の中で必要とされる単語ばかりで、日常生活を送る上で知っておくべき内容なのです」と返答しました。その言葉には深い衝撃を受け、私の英語教育に対する考え方が根底から変わりました。

海外へ興味を持ったきっかけは。
英語の先生になりたいと思っていました。きっかけは、高校生の時に地域の中学生に英語を教えるボランティア活動でした。英語が得意だったわけではありませんが、生徒から「分かった!楽しい!」という反応を得た時の喜びが忘れられず、英語の先生になりたいと強く思いました。

東ティモールやドイツも行かれたそうで。
英語の先生になりたいと考えていましたが、学びたいこと、知るべきことがまだ多いと気づきました。それから、さまざまな文化を深く理解したいという思いから、国連の学生インターンとして東ティモールへの参加を希望しました。アメリカ留学も親には心配をかけましたが、東ティモールは政情が不安定な土地だったので、親により心配をかけてしまいました。東ティモールから帰国した後、今度はドイツへ国連のインターンとして行く機会が訪れました。ドイツは途上国ではなく、水や電気、食べ物の供給も日本と同じように安定しており、生活環境に大きな違いは感じませんでした。

シンガポールで就職したそうですね。
当就職活動を始める際、私は「本当に英語の先生としての道を進むべきなのか」と疑問に思いました。英語を教えるには、もっと広い経験や知識が必要なのではないかと。特に、海外での就業経験がない私に、何を教えられるのだろうかと考えるようになりました。そこで、シンガポールでの就職活動を試みました。求人エージェントを通じて数多くの企業にアプローチしましたが、就労経験がないため、ほとんどの場合、断られるか無視される状態でした。卒業が迫る3月になり、このままでは良くないと感じ、英語の履歴書を携えて企業を直接訪問する決断をしました。その結果、一つのリサーチ会社に採用されることができました

信濃町に移住した経緯を。
シンガポールで3年間働き日本へ帰国しました。妊娠をきっかけにパートナーの出身地である信濃町への移住を決意しました。移住にあたって不安は感じませんでした。アウトドアや山登りが好きだったので、新しい生活に胸を躍らせていました。また、子育てを考えると、東京よりも長野の方が適していると感じていました。都会にも公園や緑はありますが、信濃町では自然がすぐそこにあり、それが日常となっています。
子育てや仕事に忙しい日々を送っていますが、心には余裕があります。確かに、最寄りのコンビニまで20分はかかりますが、Amazonの配送サービスはしっかりと利用できるので、特に不便を感じることはありません。家には子どもと犬がいて、時折賑やかな日常となりますが、隣家との距離があるので、騒いだり、泣き声を気にすることなく生活できています。
信濃町には多くの移住者がおり、地域住民も移住者に慣れているように感じます。地域の方々と自然に溶け込めるので、安心感があります。また、近隣の方々が他人の子どもにも気をかけてくれるので、一緒に子育てをサポートしてもらっているような温かさを感じます。

SWELLについて。
2022年に「Swell」という企業を立ち上げ、大人向けの言語学習タイピングゲーム「TypeGO」を開発しβ版をリリースしました。私自身、語学学習の難しさを身をもって知っています。だからこそ、学習した言語が日常生活の中で実際に使える内容であること、そして学習が楽しいものであることを重視しました。趣味、米国の生活、妊娠・出産、子育て、会計、不動産、経理などのビジネス関連用語を含む200以上のテーマをゲームに取り入れました。このゲームを通じて、ユーザーが異文化に触れ、新しい興味や好奇心を持つきっかけになれば嬉しいです。

信濃町での子育て。
東京に子どもを連れて行くとき、常に周りに迷惑をかけていないか気にしてしまいます。その結果、無意識に子どもの自由を制限してしまうことがあります。信濃町に移住してからは、子どもを伸び伸びと自由に自然体で育てられている気がします。また、この土地には助けが必要な時は協力し合う風土があります。ここでは他人と自分を比較することが少なく、自然とその必要性も感じられません。子どもには多くの学びの機会を提供して、自由に、のびのびと成長してほしいと思っています。

(あおなみ みさと)
株式会社Swell 代表取締役。東ティモール国連事務所(UN Women)、ドイツ国連本部(UNESCO-UNEVOC)、米系リサーチ会社Guidepointのシンガポール支部入社。2020年4月THE MOLTS入社。2022年4月に創業し現職。英語とタイピングを同時に学べるゲーム『TypeGO』を開発中。